世界一周準備:20万円以上変わる住民税対策
先日、2015年度の住民税の残り5ヶ月分を払ってください文書が届きました。
ひえっ。
住民税の考え方、本当にややこしいですよね。
そもそも何で2015年度の住民税が2016年の1月時点で5ヶ月分残っているんでしょう。。
こうした不明点に加え、長期旅行者は年内に住民票を抜いた方が得という話を聞きますが
”住民票を抜いた場合と抜かなかった場合、また抜く時期によって何がどう変わるのか”
といったことが全然わからなかったため、整理しました。
実例を見ていただいたらわかりますが、方法次第で住民税は20万円以上変わります。
また、健康保険・年金もそれぞれ40万円・20万円程変わります。
住民税とは
そもそも、住民税とは
- 都道府県が徴収する都道府県民税
- 市町村が徴収する市町村民税(東京23区は特別区民税)
を合わせた税金のことです。(Wikipeida参照)
私に先日届いた住民税の納付依頼の文書には、「住民税」とは書かれておらず「市・府民税」と書かれていたため、何の税金だと勝手に憤慨していました。
いくら払うのか
住民税は、都道府県民税+市町村民税とのことですが、その額は以下の通りになります。
それぞれ所得割と均等割の2種類あるんですね。
種別 | 市町村民税 | 都道府県民税 | 合計 |
---|---|---|---|
所得割 | 所得の6% | 所得の4% | 所得の10% |
均等割 | 3,000円 | 1,000円 | 4,000円 |
ここでいう所得とは、前年の1月〜12月までの所得を指します。
単身の社会人で額面年収500万円くらいだと住民税は年間25万円くらいとのことです。
よく住んでいる場所で住民税は変わると聞きますが、それはガセだったんですね笑
不確実情報:住民税は自治体権限で税率を変えることが可能だが、実施自治体は少なくその差額も小さいとのこと。
いつ・どう払うのか
給与所得者か否かで、納付方法が変わります。
- 給与所得者:その年の6月から翌年の5月までの12回に分けて給与から天引きし、事業主が取りまとめて納付=特別徴収
- 個人事業主や無職の人など:通常、6月・8月・10月・1月に市区町村役場や金融機関などの窓口で納付(一括も可)=普通徴収
退職した場合
勤めていた会社が払うことが出来なくなるため、以下いずれかの方法での納付となります。
- 普通徴収:退職後、個人宛てに送付される納付書により自分で納付する。
- 一括徴収:最終給与または退職金から、翌年5月分までを一括して差し引き、事業主が納付する。
- 特別徴収継続:再就職先が決まっている場合、その再就職先で給与天引きを継続する。 1〜5月の退職の際は、普通徴収は出来ないとのことです。
重要なポイント
- 前年の所得に対して、今年の1月1日時点の住所地の市町村で課税される。
- 前年の所得に対する住民税が、今年の6月から来年5月まで徴収される。
たとえば、2014年の額面年収が500万円で住民税が25万円と決まった人は、 2015年の1月1日に住んでいる市町村に対して、2015年の6月〜2016年5月に掛けて、25万円を納付するということです。
ここまで理解してようやく、この1月に私に届いた納付書の意味がわかりました。
私は2015年12月末で退職しました。
よって2015年12月までは特別徴収で会社が住民税を支払っていましたが、
退職したので普通徴収での納付と変更になりました。2015年度の住民税は2015年1月1日に住んでいた市町村に、
2015年6月〜2016年5月に掛けて払うので
会社が払ってない2016年1月〜5月分を自分で納付してください、ということですね。
住民票を抜くと住民税はどうなるか
一番気になるところです。
以下に4パターンにわけて、世界一周等に伴い住民税がどうなるか検討してみます。
なお、計算しやすいよう以下の前提とします。
- 単身社会人
- 2014年、2015年の年収は500万円弱で住民税は24万円で計算
- 2016年の年収(7ヶ月)は350万円弱で住民税は14万円で計算(例1,2のみ)
実例での計算
- 2015年度の住民税(24万円):給与天引きで支払い済み
- 2016年度の住民税(24万円):退職時または退職後に20万円納付
- 2017年度の住民税(14万円):2017年6月以降に14万円納付
住民票を抜かない例です。
2016年度の住民税は、2016年6月〜翌5月に掛けての支払いですが、
特別徴収として給与天引きで支払ったのは6月と7月分のみ(2万円/月)なので、
残りの20万円は退職時に一括で給与天引き、あるいは普通徴収で自分で支払います。
2017年度の住民税は、働いていた7ヶ月分を年収とし計算されます。
支払いは2017年6月〜翌5月に掛かるので普通徴収で4回にわけてか一括で支払います。
なお、2015年度の住民税は会社で2016年5月で払い終わっています。(特別徴収)
- 2015年度の住民税(24万円):給与天引きで支払い済み
- 2016年度の住民税(24万円):退職時または退職後に20万円納付
- 2017年度の住民税(14万円):支払いなし
例1と同じ期間働き、同じ期間旅行しますが住民票を抜いていく例です。
2016年度の住民税は、2016年1月1日に住所がある人に掛かるので、例1と同様です。
2017年度の住民税は、2017年1月1日時点で海外転出しているので、納付先の市町村はありません。つまり支払いはありません。
- 2015年度の住民税(24万円):退職時または退職後に10万円納付
- 2016年度の住民税(24万円):2017年6月以降に24万円納付
- 2017年度の住民税( 4千円):2018年6月以降に4千円納付
2015年末まで働き、2016年1月1日以降に住民票を抜いた例です。
例1, 2と異なり今回は、2015年度の住民税の支払い(2015年6月〜翌5月に掛けて納付)が残っています。
1月〜5月分の10万円を退職時または退職後に支払う必要があります。
2016年度の住民税(2015年の年収500万円をもとに計算)は、2016年の1月1日に住所があるため全額払う必要があります。旅行中に24万円の納付書が届きますね。。
2017年度の住民税は、帰国し住民票もあるので支払う必要がありますが、2016年の年収は0円なので住民税の所得割も0円です。均等割の4,000円のみ対象です。
- 2015年度の住民税(24万円):退職時または退職後に10万円納付
- 2016年度の住民税(24万円):支払いなし
- 2017年度の住民税( 4千円):支払いなし
例3と同じ期間働き、同じ期間旅行しますが、住民票を年内に抜いていく例です。
2015年度の住民税は、2015年1月1日に住所がある人に掛かるので、例3と同様です。
2016年度の住民税は、住民票を2015年12月に抜いたため支払いはありません。
2017年度の住民税も、同様に支払いはありませんです。とはいえ前年の所得が0なので浮くのは均等割の4,000円のみです。
結論
住民票を抜く、抜かないにより住民税に大きな差が出ます。
例1と例2は同じ期間働き、旅行しますが、支払う住民税に14万円の差がありました。
例3と例4も同じ期間働き、期間旅行しますが、年末に住民票を抜いた例4は、丸1年働いた所得に掛かる住民税24万円分が
丸々支払わなくてすみました。
結論としては、こんなめんどい計算なんかする必要なかったということです笑
ちまたの噂通り住民票を抜いたら金銭的負担は減る、ということですね。
まあ、理屈が分かったので良しとします。
住民票を抜くことによる更なる出費削減
住民票を抜くことにより住民税の支払い対象から外れること以外に、更に2つの税金の納税対象からも外れます。
それは、公的健康保険と年金です。なんだったらこっちの方が出費は削れます。。
公的健康保険
加入が義務である公的健康保険は、国保と社保にわかれます。
サラリーマンは社保ですが、退職後は国保への加入または社保への継続加入を選べます。
国保の場合は、単身の額面年収500万円の人で年間で約40万円掛かります。ひえっ。
社保の継続の場合は、社会人の場合とあまり変わらないと思います。
この公的健康保険、住民票を抜くと入れません。ということは抜いた後日本で病院に行くと10割負担です。
公的健康保険は、外国での通院にも適用されますが正直あまり役に立たないです。大人しく海外旅行保険に入るべきです。
ということで、住民票を抜くと健康保険料金がまるまる浮くことになります。
年収によりますが年額で20〜50万円は出費が減るかと思います。
※社保の継続加入の場合、住民票を抜いても入れるかもです。きちんと調べてないです。。
年金
年金については別の記事で纏めていますのでそちらを参考にしてください。
概要だけ言うと、国民年金が任意加入となります。加入すると年間で約19万円掛かります。
ただし、当然年金を払わないので老後年金の受給額が減ることになります。
最後に注意
最後に注意です。
住民票を抜く際、市町村によっては出国14日前でなければ転出手続きをしてくれない、というところもあるそうです。
とはいえ、チケットを見せる必要はないでしょうけどね。。
また、出国の期間が1年に満たない場合や、目的・出国中の居住の状況等から国内に住所があると判断された場合は、 1月1日に住民票を抜いてあっても転出前の市町村に住所があるものとみなされ課税されることがあるとのことです。